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2024年4月の記事一覧

タキシードをよりエレガントに

タキシードを一度も着用したことが無い方でもタキシードのラペル(下襟)に光沢のある生地が使われていることはご存知だと思います。この生地は拝絹地(ハイケンジ)という固有の名前があります。この記事では拝絹地について紹介したいと思います。

サテンシルク(satin silk):今日タキシードのラペルの多くを占めるのがシルクを使った表面が平らでツルっとした生地です。読者の皆さんが想像するタキシードのラペルもおそらくこの生地ではないでしょうか?

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サテンシルク

グログラン(grosgrain):グログランとは横方向に畝のある織り方のことで素材はコットンやシルクなど様々ですがタキシードではシルクが使われています。サテンシルクの光沢に比べ繊細でマットな仕上げです。20世紀前半ではディナージャケットや燕尾服などに人気がありました。

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グログラン


特徴

サテンシルク:夜の礼装は色柄を抑えて光沢のあるものを使用することが一般的です。サテンシルクの光沢はシルバーのカフスボタンやスタッズなどの装飾品とよく合います。国産のものや輸入品など数量が多く、黒以外にも生産されてます。イージーオーダーや既製品、レンタルなどでも着用することが出来ます。

グログラン:畝になっている外観は古風な印象を周りに与えます。また英国の上流階級の一部ではサテンシルクよりマットな仕上がりがエレガンスだと感じる人もいます。一方で国内のみならず海外でも極限られた生産しかされていないため、あまり見かけることはありません。そのためグログランのタキシードをもし見かけることがあれば、ビスポーク(フルオーダー)であると言っても間違いないでしょう。

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まとめ

サテンシルクかグログランかどちらの生地をラペルに使うかでタキシードの格式は変わりません。個人の純粋な好みで問題はありません。もしどちらにするか悩む場合は身頃の生地とのコントラストを参考にするとよいかもしれません。
テーラー新屋ではどちらの生地も承っています。
タキシードをお求めになる時は気軽にご連絡ください。


*グログランをラペルで使用する際は蝶ネクタイやカマーバンド、スラックスの側章などの規定も少し変わります。ご着用の予定がある場合や詳しく知りたい方は気軽にご相談ください。

 *画像はGoogle画像検索より


スペンサージャケットの興味深い起源

はじめまして、新人の大河です。

昨年の4月から修行しています。

 

今回の話はスペンサージャケットです。スペンサージャケットは本来、6釦3つ掛け式の尾のない燕尾服型のジャケットまたはコートを指します。このオリジナルのスペンサージャケットは1790年に見られるようになり19世紀では男女の区別なく上流社会で流行し、1850年代に廃れたことが伝わっています。

 

ところで、このスペンサージャケットの起源には2つの興味深い説があることをご存知でしょうか?

どちらの説も18世紀末の貴族、ジョージ・ジョン・スペンサーの失態から生じたものである。

 

一つはスペンサー卿が狩場で焚火を囲んでいた際に、着ていた狐狩り用の燕尾服の尾っぽを綺麗に焼いてしまい、それがたちまち社交界に伝わり流行の最先端を切るものになってしまったという説。

 

もう一つは同じくスペンサー卿が騎馬で遠乗りに出かけた際に、何かのはずみで突然馬から振り落とされ、その拍子に乗馬服の尾っぽと袖が引きちぎれてしまった。

この一件がたちまち仲間の紳士たちに知れ渡り、一世の流行にまでなってしまったという説。

 

つまり「焚火説」と「落馬説」があり、いずれも1789年頃の出来事だったとされています。どちらも滑稽な説ですが皆さんはどちらの説を信じますでしょうか?

 

 


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